ロシアのウクライナ侵攻に対する大手コンサルティングファームの対応まとめ

ロシアのウクライナ侵攻に対する大手コンサルティングファームの対応まとめ

2022年、ロシアのウクライナに対する侵攻についての各コンサルティングファームの対応をまとめています。

McKinsey

McKinseyはウクライナ支持と今後ロシア政府にはサービスを提供しない旨をLinkedinにて表明しています。
また、その投稿に対してキエフ出身のMcKinsey社員から政府だけでなく全ロシア企業を対象にするようコメントしています。
さらにBCGのコンサルタントも当社も態度を表明するべきとBCGトップをタグ付けしてコメントしています。
ロシアにおける従業員は400人以上に上るようです。

Accenture

ロシアから完全撤退して従業員2300人をリストラし、ウクライナの人々や世界中の政府、企業や個人とともにウクライナの人々への恐ろしい攻撃の即時停止を求めると声明を発しています。
また、避難民を支援する団体に500万ドルを寄付し、さらに従業員からの寄付金に同額を加えて支援を行っています。
アクセンチュアは、ウクライナでは事業展開していないが、自社ウクライナ人従業員とその家族への支援を行っている。

BCGボストンコンサルティンググループ

ロシアのウクライナ侵攻を受けて、ロシアのすべてのクライアントとの取引を中止しています。現地では約400人の従業員がいるが、事業を縮小し、新しい案件は受けない方針を表明しました。
しかし、モスクワのオフィスは引き続き営業を継続し、ロシア国外の顧客へのサポートを行っているようです。
また、ウクライナ難民に対しては、食料やシェルターの提供などを独自に行っていることを発表しました。
CEOのクリストフ・シュヴァイツァー氏は「我々はすでに業務を縮小し始めている、これから新しい案件を引き受けることはないだろう」と表明しました。

大手のコンサルティングファームに続き、BIG4もそれぞれ同様の方針を示しています。

PwC

ロイターやフィナンシャル・タイムズは7日、同社がロシアから撤退すると報じている。先んじて、「国際法の違反とロシアのウクライナに対する侵攻を遺憾に思う。私たちはウクライナ国民と共にある。最優先事項は従業員の安全とウェルビーイングだ」と侵攻を非難する声明を出していた。また同社は1993年からウクライナで事業を展開。750人以上の従業員がおり、法的・経済的支援などを実施しているという。

KPMG

ロシアとベラルーシの4500人以上の従業員すべてを撤退させ、ウクライナと戦争により影響を受けている地域の人々を支援する方針を発表しました。
ホームページにて以下のように声明を公表しました。

「ウクライナでの戦争は、ヨーロッパが過去数十年間経験したことのない地殻変動的な衝撃を与えている。多くの人々の命が危険にさらされ、さらに多くの人々が危機的な地域から逃れてきている。我々は、紛争地域から従業員を撤退させ、安全な場所に移している。
武力紛争は、多くの企業のリスクエクスポージャーと戦略にも大きな影響を及ぼしています。今後は、短期的、中期的、長期的な変革が必要である。
企業や法人は、非常に異なる領域に影響する多くの疑問や課題に直面しています。私たちの専門家は、これらの問題を解決するために支援します。」

デロイト

デロイトは侵略への非難声明を公表しており、ロシア政府へのいかなる事業へもサービスを提供しないことを表明しています。
また、Global CEOのPunit Renjenによる声明を2022年3月7日付で公表しました

「デロイトは先週、ロシアにおけるビジネスについて見直しを行うことを発表しておりましたが、今般、ロシアおよびベラルーシにおける事業拠点を、デロイトのグローバルネットワークから除外する方針となりました。これを受け、デロイトはロシアおよびベラルーシでの事業活動を停止いたします。

私共はこの決断を正当なものであると考えていますが、これにより、ロシアとベラルーシで活動してきた約3,000人のデロイトのプロフェッショナルが影響を被ることも認識しています。これらのプロフェッショナルや他の多くのロシアの人々の意見が、ロシア政府の今回の行動と無関係であることは言うまでもありません。デロイトは、今回の決断に伴う移行の中で影響を受ける全ての同僚に最大限の支援をしていく方針です。

デロイトは人材とクライアントのニーズの充足を引き続き最優先に置きつつ、グローバル規模で有するリソースを全面的に活用することでてウクライナと欧州全体で高まりを見せる人道上の課題解決に対応していきます。また、グローバル金融市場や関連する様々な規制当局に対するコミットメントと義務を尊重し、履行してまいります。」

外部リンク:ウクライナ情勢に関するデロイトの対応について

EY

侵攻への非難声明を発表し、ウクライナの従業員および軍事衝突に家族や友人が巻き込まれている世界中の従業員の支援を行っているようです。
また、HPにて、2022年3月7日に以下の声明を公表しています。

ウクライナにおける衝撃的で忌まわしい軍事行動がエスカレートし続ける中、私たちは引き続きウクライナ、東欧、そしてその地域に従事するメンバーの安全を最優先とし、影響を受けた人々の支援を精力的に行っています。ウクライナの700人のEYメンバーに対して経済的支援、転居、交通手段、出入国管理サービスを継続して行っています。さらに、グローバルのEYファミリー全体が一丸となって、より広範なウクライナのコミュニティに対する後方支援、ボランティア活動、資金寄付などの難民支援を行っています。

被害が甚大になる中、EYはグローバル組織として、今後ロシア政府、ロシアの国営企業、制裁を受けた企業、団体また個人に対するサービスを提供しないことといたしました。EYは、ロシアのメンバーファームをグローバルネットワークから切り離すための手続きを始めました。

ロシアには4700人以上のEYメンバーがおり、30年以上にわたりEYのグローバルネットワークの一員として、グローバル、東欧、ウクライナのメンバーたちと肩を並べて働いてきた背景から、簡単な決断ではありませんが、世界中のクライアントやEYメンバーをサポートし、法的義務やその他コミットメントを果たすため、尽力いたします。

今回の軍事行動を発端としたウクライナ、東欧、その他の地域での苦難は、EYのメンバー全員にとって深く憂慮するところです。EYは、すべての当事者がウクライナの平和的解決に向けて早急に取り組むことを強く求めます。

外部リンク:ロシアにおけるEYの業務

コンサル大手各社はいずれもロシアへの非難声明を公表し、事業の撤退・難民のサポートを行っています。